書評 坂本貴志「ほんとうの日本経済」(講談社現代新書)

目次

内容

著者はアナリスト。「ほんとうの定年後」という著作がけっこう話題になった人です。

人口減少が声高に叫ばれるなか、実際に何が起こっているのか、これから何が起こるかをデータと調査に基づき分析した本です。

第一部では人口減少経済で起こっている10の変化が書かれています。

①現在の日本社会が人口減少の加速していく入口に立っていること。

グラフで直感的にわかるように説明されていました。

②生産性は堅調も、経済成長率は低迷

日本のGDPがどんどん順位を下げていますが、実はデータでは労働生産性は上がっており、労働力人口の減少や高齢化により総労働時間が減っていることが原因だと述べられています。

これはなるほどと思いました。今はみんな仕事が終わったら早く帰りますからね。昔は本当に遅くまでみんなが働いていたような気がします。

③需要不足から供給不足へ

供給不足、いわゆる人手不足ですね。IT技術者などの専門職に加えて販売、介護、警備員、タクシー・バス・トラックの運転者、これらの部門で人手不足が深刻化していると。

④正規化が進む若年労働市場

若年層の処遇は大きく改善している。これはニュースで感じますね。初任給がどんどん上がっていってる。

⑤賃金は上がり始めている。

年収が上がらないなかで、平均時給は上がっているそうです。これは見落としていた視点でした。

⑥急速に減少する労働時間

これは本当に感じます。早く終わって、早く帰ろうという時代になりました。

⑦労働参加率は主要国で最高水準

女性や高齢者の労働参加が急速に増えたということ。

⑧膨張する医療・介護

もうこれはこのままですね。高齢者が増えればこうなります。

⑨能力増強のための投資から省人化投資へ

セルフレジとかですね。

⑩人件費高騰が引き起こすインフレーション

これはけっこう大事なポイントかもしれません。これからの時代、輸入物価の高騰に代わって、人件費の高騰がインフレの主な原因になるということです。どちらにしてもインフレです。

第二部では機械化と自動化がどのように行われているか具体的に書かれています。

第三部 これからの予測が書かれています。

①人手不足はますます深刻に

②賃金はさらに上昇へ

③労働参加は限界まで拡大する

④人件費の高騰が企業利益を圧迫する

⑤資本による代替が進展

⑥生産性が低い企業が市場から退出

⑦緩やかなインフレーションの定着

⑧優先順位の低いサービスの消失

感想

人手不足の問題で解決策として出てくるのが、外国人の受け入れですね。実際、外国人労働者はデータ上も増えているそうです。(まあ実感としてもわかりますよね。)

でもこの本でも書かれているのですが、安易な大量の外国人労働者受け入れは、日本の賃金上昇を抑制していまう面があると思います。

一番インパクトのあった指摘は「人手不足が原因のインフレが恒常的に続く。」という部分ですかね。

もうデフレには戻らないという覚悟みたいなものが必要なんだなと思いました。

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この記事を書いた人

はじめまして。会社をセミリタイアし、現在第二の人生を模索中です。読書と日常生活について投稿していきたいと思います。

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