
著者は芥川賞作家。15年間の引きこもり生活のあと文学賞を受賞し、作家デビューをするという異色の経歴の持ち主です。
この本は小説ではなく、人生論のようなスタイルで書かれています。
著者は「自分が奴隷であると感じるなら、まず逃げろ」と言います。
「逃げる」ことは簡単ではありません。そんな簡単に会社を辞められるわけでもありません。著者もそれはわかっているようです。
それでも著者は「自分の命を守り、生き方を取り戻すほうがはるかに重要だ。」といいます。
そして逃げたあとは能動的な思考を継続して、主体性、能動性を取り戻すこと、そうすることによってやっと奴隷でなくなり、未来に向かっていけると。
10年以上以上引きこもって、そのあと文学賞を受賞して作家になるという、それだけでも奇跡のような人生に自分なんかは感じるのですが、それでも以下の文章には心を動かされます。
(棚からぼた餅という言葉がありますが)「凡人でも、しかる場所で、きちんと準備をして待てば、落ちてくる餅を手にすることはできます。努力と運は、けっこう密接に結びついているものです。」
いい本でした。