書評 角田光代 「さがしもの」(新潮文庫)

角田光代氏の本をテーマにした短編集です。9編の短編が収められています。

一番印象に残ったのは「彼と私の本棚」という作品です。

主人公の「私」はお互い本が好きな彼氏「ハナケン」と同棲していたのですが、ハナケンから「好きな人ができた。」と言われ同棲を解消することになります。

ハナケンから「好きな人ができた。」と言われた「私」は「その人、本を読むの?」と聞いてしまいます。ハナケンは「たぶん読まないと思う。」と答えます。

この部分笑ってしまいました。

本文にも書いてあるのですが、別れを切り出されて混乱している「私」は本を読む自分、相手は本を読まない女とういうかたちでその見知らぬ女より優位に立とうとします。

でもハナケンはsこう言います。「そういうこと関係ないんだ。」

私は我に返ります。

「ほんとうにそのとおりだ。本を読もうが読むまいが人は人より優位には立てないのだし、好きになる気持ちにそんなことはさほど関係がない。

繰り返しになりますがなんだかこの部分、笑ってしまいました。

その後「私」は同棲した部屋を出ていくことになり、ハナケンがウイークリーマンションを借りている間に荷物の整理をすることになり、本棚にある本を自分とハナケンのものとに分けていったりする場面が描かれます。

引っ越し先で、泣きながら「新しい本棚を買いに行こう。」と決意するところで物語は終わります。

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この記事を書いた人

はじめまして。会社をセミリタイアし、現在第二の人生を模索中です。読書と日常生活について投稿していきたいと思います。

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